ただし××な意味で【完】
「……え?」
驚いて何も言えずにいれば、体を起こした内原さんは獲物を見つけた鷲のような鋭い目つきで私を見ている。獲物を見つけた鷲の目、見たことないけど。まあそんな感じ、多分。
「う、ちはら……さ?」
今のって。
俗に言うキス、というやつですよね?
カッと顔が熱くなって、言いたいことは山ほどあるのに肝心の口はパクパク空気を切るばかりで、声を発してはくれない。
「……嫌でも意識すんだろ、隣にこんな無邪気に自分のこと好いてくれてる女が住んでりゃ」
「あの、それは……んっ、え、」
突然のキスに内原さんを押さえつけていた手の力は無意識に緩み、彼はあっさりと起き上がると私の後頭部を押さえつけ、また唇を奪う。
内原さんの舌が入ってきて強い刺激に見舞われた。
口の中が熱い。息苦しい。でもやめないでほしいっていう。月並みなことしか思えない。
少しして内原さんは離れていき、バッチリと目が合ってしまった。