ただし××な意味で【完】



「……覚えてますか? 私が引っ越してきてすぐ、飲み会で酔っ払って家の前で倒れそうになってるところを助けてくれましたよね?」


「……あー、そうだな、そう言えばそんなこともあったか。……そう言えばオマエ、次の日起きたら俺の顔殴ったよな?」


「……えへ?」


「えへじゃねーよ。助けてやった恩人を
変態扱いしやがって」




あーん内原さんてば忘れてなかったか。


恨みがましく言う愛しの彼に苦笑いを浮かべて誤魔化すも、小さく溜息を吐かれた。



一年前、なんの面識もなかったのに酔いつぶれた私を自身の部屋に招き入れて介抱してくれた内原さんを、翌日見事に記憶を落としていた私は一発殴ってしまったのだ。



てっきり変なことでもされてしまったのかと思って。



けど今となっては、あの時何かあればよかったのに、と思わずにはいられない。こんなに好きになるとは思ってなかったんです。




「あの時はごめんね? でも内原さんは私にとって、一番かっこいい男の人ですよ」




内原さんはなんていうか完璧。


好きにならない理由がどこにある?



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