ただし××な意味で【完】
「……ゲームやるんじゃなかったのか」
「そんなの内原さんちに来る口実です。最近全然家に入れてくれないから……!」
「それは、」
「私のこと面倒くさくなったからだとしてもいいんです、大丈夫です。仕方ないから」
「おい?」
「だから、」
「……」
「だから一回やって! 私のこと女だと意識してくだ、」
「待て! 分かったから女の子がやるとか言うな……っ!」
意外と真面目な内原さんは、声を上ずらせて早口で言う。
やるをやると言って何が悪いってんだ! 他にどう上品に言えと!? と私の方は半ばやけくそですが。
だってほら。こんな時まで女の子って言う。子供扱いするじゃん。悔しいです。
「……家に入れてくれなかったのは、……彼女でもできたからですか?」
ほんとはそれがずっと怖かった。
言葉にするとうっかり泣きそうになってしまう。違うと言ってもらえなければ悲しくて死ねる。
前は私がインターフォンを押せばいつだって部屋に招き入れてくれたのに、最近は違った。
玄関で立ち話して追い返される。
今日なんかチェーンまで張られてた。
図々しいと定評のあるさすがの私も、そろそろ心折れる。