ただし××な意味で【完】




「……ゲームやるんじゃなかったのか」


「そんなの内原さんちに来る口実です。最近全然家に入れてくれないから……!」


「それは、」


「私のこと面倒くさくなったからだとしてもいいんです、大丈夫です。仕方ないから」


「おい?」


「だから、」


「……」


「だから一回やって! 私のこと女だと意識してくだ、」


「待て! 分かったから女の子がやるとか言うな……っ!」




意外と真面目な内原さんは、声を上ずらせて早口で言う。


やるをやると言って何が悪いってんだ! 他にどう上品に言えと!? と私の方は半ばやけくそですが。


だってほら。こんな時まで女の子って言う。子供扱いするじゃん。悔しいです。




「……家に入れてくれなかったのは、……彼女でもできたからですか?」




ほんとはそれがずっと怖かった。


言葉にするとうっかり泣きそうになってしまう。違うと言ってもらえなければ悲しくて死ねる。



前は私がインターフォンを押せばいつだって部屋に招き入れてくれたのに、最近は違った。



玄関で立ち話して追い返される。


今日なんかチェーンまで張られてた。


図々しいと定評のあるさすがの私も、そろそろ心折れる。





< 9 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop