-ハナムケ-

「特休明けたら俺の代わりになるヤツ。もう、ちゃっかり用意してるんだろ?」

「うん……」

「だったらそれでいいじゃねーか」

「いい……の?」

「大体、こういう気持ちになってんの。俺だけじゃねーし。ただ、」

「ただ……?」

「入社からずっと一緒にお前の直ぐ傍で働いてきたのは俺だけどな」


うん。

そう。

そうだよ。

私達、ずっと一緒にいた。

今、はっきりわかった。

この私の中にあるものは、寂しさ。

理解すればそれは馴染みある感情だった。


私は今、大きな変化の中の真っただ中にいて、覚悟はしていたけれども、それでも実際となるとすんなりと受け容れられないことは数々抱えてる。


この気持ちはオフィスを出て家に帰れば少しは緩和される筈だと信じたい。


「もう俺のとこには戻ってくんなよ」

「わかってる……」


わかってる。

わかってるってば。

あなただってちゃんと新しい彼のこと、認めてくれているんでしょう?


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