-ハナムケ-
悲しいわけじゃないんだけど、辛いわけじゃないんだけど、
寧ろ本当はとても喜ばしいことなんだけど、
慣れ親しんできたあなたとの別れは、名残惜しくて、寂しいの。
でも、私がこんなんじゃダメだね。
やっと、私の心配をしなくてすむって清々してくれてたんだものね。
その嫌味で、けど、最高のエールに私はしっかりと応えなくちゃならない。
涙を拭って、勤怠表の自分のチェック欄にあなたと一緒に残す最後の印。
「今まで、ありがとう」
私はそう小さく呟いて、彼なりの餞の詞と未来への希望を抱きオフィスを出た。
【擬人化したもの~ネーム印(シャチハタ)~】