心空
受付のひとに言われたとおり3階にいくと、いちばん奥にある手術室の前のイスに、ひとりの女のひとがすわっている。
「ここ、あのひと……」
「爽のお母さんだ……」
俺らはそのひとにちかづく。
「あの……」
俺の声に、うつむいていた顔をあげる女のひと。
髪の毛はボサボサで、化粧はくずれて涙のあとがついている。
「えっと……」
俺の顔をみて、だれ?と言った顔をする。
初対面なんだから、あたりまえだ。
でも、俺のとなりにいるここをみてハッとする。
「心ちゃん……きてくれたのね。そちらの子も」