ごくまれな事なので、ついでに奇跡も起きたらいいのに
「え、あ、お疲れ様です」

「お疲れ様です」


コーヒーの次は三浦。三浦。三浦。

香奈は、思いがけないことの連続に動揺していたが、三浦には変な自分を見せてはいけないという意思はしっかり働いて、平静を装うことかできた。


「この自販機で買ったんですけど、押したのと違うのが出てきちゃって」


香奈は胸の前でコーヒーを見せながら、苦笑いをした。
多分、ちゃんと答えられたと思った。


「本当ですか。業者が間違えて入れたんですかね? コーヒーで大丈夫なんですか?」

三浦がまた尋ねてきた。
大丈夫か大丈夫じゃないかといったら、大丈夫じゃない。

「正直苦手なんですけど、飲めないこともないですし、今日はこれにしておきます」

多分、大人女子の対応ができたと思った。
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