ごくまれな事なので、ついでに奇跡も起きたらいいのに
「あ、お疲れ様です」

香奈はそう一言だけ返すと、近くのラックに入った旅行会社のチラシを手に取った。


「お疲れ様、三浦くん。三浦くんも休憩かな?」

彼も、入ってきた男性に声をかけた。


「俺のお勧めは、このコーヒーね」

彼は、香奈に勧めたように、『三浦』と呼んだ男性にもブラックコーヒーを勧めた。

三浦は、彼の言った先を確認すると、

「新しいの出たんだ」

と言って、彼お勧めのブラックコーヒーを手に取った。


「ありがとうね、三浦くん」

彼は嬉しそうに笑った。

三浦は軽く会釈をすると、プルタブを開けながら去っていった。
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