ごくまれな事なので、ついでに奇跡も起きたらいいのに
香奈は、目線をチラシから、去っていく三浦の後ろ姿に移し、三浦が見えなくなるのを確認してから、はぁと小さくため息を吐いた。


「香奈」

彼の呼びかけに、香奈が彼のほうを見ると、真剣な眼差しの彼と目が合った。


「いつになったら三浦くんに声かけるんだよ? 毎回毎回『私は気にしてません』って態度取って」

「え!? 何で知って……」


今度こそ声をかけよう、今度こそ、今度こそ……と先伸ばしにし続けていることを見抜いている様子の彼に、香奈はドキリとした。


「言ったよね? 香奈のことずっと見てたって」



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