夢が醒めなくて
「まあ、もう、桜の開花宣言出たしな。楽しみやなー。今年も桜。」
無意識に俺のテンションが上がった。
「桜、お好きなんですね。園遊会もあるんですもんね。」
他人事のようにそう言った希和に違和感を覚えた。
「希和、桜は好きちゃうん?……正月に天神さん行った時から梅にはめっちゃ反応してるのに。」
そう言えば、温かくなってから希和は庭にいることが増えたが、いつも咲いている梅の木の近くにいる気がする。
「梅は好きです。香りも……木も、花も、実も。桜は……山桜は好きです。しだれ桜も情緒があっていいですね。」
あ~。
なるほど。
何か、わかった気がする。
「つまり、ソメイヨシノがあまり好きじゃないんやな?」
ひねくれ者やなぁ……と言ってしまいそうになって、慌てて言葉を飲み込んだ。
4月に入った。
桜が美しい花の道を、希和を連れて歌劇を見に行った。
新しいトップスターお披露目公演の初日だ。
関係者や新トップ会で大賑わいの劇場で、希和は目を丸くして周囲をうかがっていた。
「……花の道はロマンチックだし、建物はお城やのに、中はすごい熱気。」
「待ちに待ったトップ就任やし、トップ会は大興奮やろなあ。」
てか、こんな日にSS席をキープしてくれたのか。
せっかく希和にとって初めての観劇なのでなるべく前のほうで見せてやりたいとは思っていたが、れいの厚情に感謝だな。
「プログラム買いに行こうか。あ。静稀ちゃんのスチール写真も出てるかも。」
……れいは、ないだろうな。
シビアなスターシステムの路線に順調に乗っている静稀ちゃんと、完全に脇シフトで新公を卒業したれいでは、天と地ほどの差がある。
「写真も、白塗り?」
「まあ、源氏物語やし、白塗りやろうなあ。」
そんな話をしながら、かなり混雑しているグッズショップに入った。
「希和。はぐれるわ。」
そう言って希和の手をつなぐ。
……ラッキー。
正直なところ、理由は何でもいい。
本当は、ずっと希和に触れていたかった。
「義人。」
レジで精算を済ましたセルジュが前からやって来た。
「セルジュ。初日、おめでとう。静稀ちゃん、調子どや?」
そう言ってから、希和をセルジュの前にそっと押し出した。
「希和。セルジュや。俺の親友。」
「はじめまして。希和子ちゃん?だったよね?……こいつに振り回されてない?」
セルジュは笑顔で希和にそう言った。
無意識に俺のテンションが上がった。
「桜、お好きなんですね。園遊会もあるんですもんね。」
他人事のようにそう言った希和に違和感を覚えた。
「希和、桜は好きちゃうん?……正月に天神さん行った時から梅にはめっちゃ反応してるのに。」
そう言えば、温かくなってから希和は庭にいることが増えたが、いつも咲いている梅の木の近くにいる気がする。
「梅は好きです。香りも……木も、花も、実も。桜は……山桜は好きです。しだれ桜も情緒があっていいですね。」
あ~。
なるほど。
何か、わかった気がする。
「つまり、ソメイヨシノがあまり好きじゃないんやな?」
ひねくれ者やなぁ……と言ってしまいそうになって、慌てて言葉を飲み込んだ。
4月に入った。
桜が美しい花の道を、希和を連れて歌劇を見に行った。
新しいトップスターお披露目公演の初日だ。
関係者や新トップ会で大賑わいの劇場で、希和は目を丸くして周囲をうかがっていた。
「……花の道はロマンチックだし、建物はお城やのに、中はすごい熱気。」
「待ちに待ったトップ就任やし、トップ会は大興奮やろなあ。」
てか、こんな日にSS席をキープしてくれたのか。
せっかく希和にとって初めての観劇なのでなるべく前のほうで見せてやりたいとは思っていたが、れいの厚情に感謝だな。
「プログラム買いに行こうか。あ。静稀ちゃんのスチール写真も出てるかも。」
……れいは、ないだろうな。
シビアなスターシステムの路線に順調に乗っている静稀ちゃんと、完全に脇シフトで新公を卒業したれいでは、天と地ほどの差がある。
「写真も、白塗り?」
「まあ、源氏物語やし、白塗りやろうなあ。」
そんな話をしながら、かなり混雑しているグッズショップに入った。
「希和。はぐれるわ。」
そう言って希和の手をつなぐ。
……ラッキー。
正直なところ、理由は何でもいい。
本当は、ずっと希和に触れていたかった。
「義人。」
レジで精算を済ましたセルジュが前からやって来た。
「セルジュ。初日、おめでとう。静稀ちゃん、調子どや?」
そう言ってから、希和をセルジュの前にそっと押し出した。
「希和。セルジュや。俺の親友。」
「はじめまして。希和子ちゃん?だったよね?……こいつに振り回されてない?」
セルジュは笑顔で希和にそう言った。