夢が醒めなくて
……けっこうな言われようだな。
「意外と俺、純情やったみたいやわ。」
冗談にもなりゃしない。
情けない。
「あーもう!希和ちゃんとなら、仲良く楽しい老後を送れるはずだったのにぃ。あ。十文字のお嬢さんは論外だから!」
さやか嬢のことは、敢えてスルーしよう。
「老後って。まだそんな歳ちゃうやん。……それに、希和かて、どこぞに嫁いでもうちの子であることには変わりはないし。」
「……そんなわけないでしょ。よりによって、坂巻くん家(ち)なんかに嫁いだら、自分の時間なんか皆無よ。うちに来るのは寄付?お布施?を頼みに来る時だけになっちゃうわよ。私は、希和ちゃんに、露ほども苦労させたくないのに!もう充分、うちに来るまでさんざん苦労したでしょうに!もう~~~!」
バシバシと俺を叩く母親は、本気でガッカリしていた。
「てか、俺のこと応援してるなら、早く言うてーな。罪悪感と倫理観で雁字搦めになってたのに。」
半分冗談、半分本気でそう言った。
母親は、バシッと俺の頭をはたいた。
「それくらいでちょうどいいのよ。義人が女にだらしない生き方してたから、希和ちゃん、あんたのことが信じられないんでしょ!自業自得!情けない!あんたなんか、下品で尻軽な馬鹿女がお似合いよ!……でも、私、そんなお嫁ちゃん、絶対いや~~~~!」
ハンカチをもみしぼって、母親は泣いた。
俺だって、勘弁してほしいよ。
「温泉、ありがとうございました~。最高ですね!てか、親父まで泊めてもらって、すみません。」
浴衣の朝秀くんがキッチンに顔を出した。
「あらあら。とんでもない。楽しかったわ。お父さま、朝まで起きはらへんかしらねえ。」
母親の声も表情も、よそ行きモードに変わった。
「向こうの冷蔵庫に、水もお茶もジュースも入ってるから、適当にやって。夜食どうする?」
酒は、抜いたけどな。
「え?夜食?」
キョトンとする朝秀くん。
「春秋!なんで浴衣やねん!まだ寝ぇへんで。英語すら終わってへんのに!」
同じく温泉上がりなのに、普通にTシャツ&Gパンの坂巻くんが怒る。
賑やかに離れの茶室に行った2人に、母親がため息をついた。
「漫才みたいな子たちね。ずっと希和ちゃんのお友達でいてほしかったわ……」
そんな過去形で言わんでも……。
「意外と俺、純情やったみたいやわ。」
冗談にもなりゃしない。
情けない。
「あーもう!希和ちゃんとなら、仲良く楽しい老後を送れるはずだったのにぃ。あ。十文字のお嬢さんは論外だから!」
さやか嬢のことは、敢えてスルーしよう。
「老後って。まだそんな歳ちゃうやん。……それに、希和かて、どこぞに嫁いでもうちの子であることには変わりはないし。」
「……そんなわけないでしょ。よりによって、坂巻くん家(ち)なんかに嫁いだら、自分の時間なんか皆無よ。うちに来るのは寄付?お布施?を頼みに来る時だけになっちゃうわよ。私は、希和ちゃんに、露ほども苦労させたくないのに!もう充分、うちに来るまでさんざん苦労したでしょうに!もう~~~!」
バシバシと俺を叩く母親は、本気でガッカリしていた。
「てか、俺のこと応援してるなら、早く言うてーな。罪悪感と倫理観で雁字搦めになってたのに。」
半分冗談、半分本気でそう言った。
母親は、バシッと俺の頭をはたいた。
「それくらいでちょうどいいのよ。義人が女にだらしない生き方してたから、希和ちゃん、あんたのことが信じられないんでしょ!自業自得!情けない!あんたなんか、下品で尻軽な馬鹿女がお似合いよ!……でも、私、そんなお嫁ちゃん、絶対いや~~~~!」
ハンカチをもみしぼって、母親は泣いた。
俺だって、勘弁してほしいよ。
「温泉、ありがとうございました~。最高ですね!てか、親父まで泊めてもらって、すみません。」
浴衣の朝秀くんがキッチンに顔を出した。
「あらあら。とんでもない。楽しかったわ。お父さま、朝まで起きはらへんかしらねえ。」
母親の声も表情も、よそ行きモードに変わった。
「向こうの冷蔵庫に、水もお茶もジュースも入ってるから、適当にやって。夜食どうする?」
酒は、抜いたけどな。
「え?夜食?」
キョトンとする朝秀くん。
「春秋!なんで浴衣やねん!まだ寝ぇへんで。英語すら終わってへんのに!」
同じく温泉上がりなのに、普通にTシャツ&Gパンの坂巻くんが怒る。
賑やかに離れの茶室に行った2人に、母親がため息をついた。
「漫才みたいな子たちね。ずっと希和ちゃんのお友達でいてほしかったわ……」
そんな過去形で言わんでも……。