夢が醒めなくて
軽いな……。
人形みたいに、希和はベッドに倒れてしまった。
黒い絹糸のように広がった髪を丁寧に撫で整えて、希和の頬にそっと触れた。
涙は温かいのに、頬は冷たかった。
「なあ。何で泣いてるん?いつからここにいたん?こんなに冷えて。」
希和は何も言わなかった。
ただ俺を見つめて、ホロホロと涙をこぼし続けた。
とても直視できなくて、俺は希和を胸にかき抱いた。
キャミワンピからしなやかに伸びた首も肩も腕も足も冷たかった。
希和は逃げなかった。
それどころか、俺の背中に手を回してしがみついてきた。
……いいのか?
「あったかい。」
希和のうれしそうなつぶやきは、薬で理性の箍(たが)のはずれた俺を煽るのに充分だった。
そっと希和をベッドに押し倒しながら、まぶたに、頬に、ひたいに、耳に、うなじに……優しいキスを注ぐ。
唇を重ね、舌をからめると、希和は甘く震えた。
初々しい反応だった。
希和は恥じらってはいたが、まったく嫌がってなかった。
うっとりと夢見心地な瞳で、時に涙を浮かべて、ずっと俺を見つめていた。
一瞬たりとも見逃さない、忘れない……そんな強い意志を感じた。
てゆーか!
希和は、まだ処女だったのか……。
「ごめん。汗臭いやろ?俺、シャワー浴びてへんわ。」
事後も、俺にしがみついたままの希和にそう言った。
「くさい?……この香り……好き。」
希和は、ぼんやりとそうつぶやいて、俺の胸にすりすりと頬ずりした。
……そんなことされたら……また、やりたくなるんやけど。
俺は、希和のかわいい鼻に軽く噛みついた。
「好きなんは、香りちゃうやろ。俺、今日は何も香水とか付けてへんで。」
言えよ。
俺が好きだと言ってくれ。
祈りを込めて何度もキスした。
ぐにゃぐにゃになった希和は、べったりと俺にしなだれかかってつぶやいた。
「うれしい……このまま溶けてなくなってしまいたい……」
何でやねん。
イラついた俺は、希和の両肩を掴んでまつげがくっつきそうなぐらい間近から希和の瞳を覗き込んだ。
「ほな、何で坂巻くんとつきあってんの?」
ポロッと、希和の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「だって、孝義くんは、誠実やもん。信じられるもん。」
「へーーーーー。」
ちょっと意地悪な気持ちになった。
人形みたいに、希和はベッドに倒れてしまった。
黒い絹糸のように広がった髪を丁寧に撫で整えて、希和の頬にそっと触れた。
涙は温かいのに、頬は冷たかった。
「なあ。何で泣いてるん?いつからここにいたん?こんなに冷えて。」
希和は何も言わなかった。
ただ俺を見つめて、ホロホロと涙をこぼし続けた。
とても直視できなくて、俺は希和を胸にかき抱いた。
キャミワンピからしなやかに伸びた首も肩も腕も足も冷たかった。
希和は逃げなかった。
それどころか、俺の背中に手を回してしがみついてきた。
……いいのか?
「あったかい。」
希和のうれしそうなつぶやきは、薬で理性の箍(たが)のはずれた俺を煽るのに充分だった。
そっと希和をベッドに押し倒しながら、まぶたに、頬に、ひたいに、耳に、うなじに……優しいキスを注ぐ。
唇を重ね、舌をからめると、希和は甘く震えた。
初々しい反応だった。
希和は恥じらってはいたが、まったく嫌がってなかった。
うっとりと夢見心地な瞳で、時に涙を浮かべて、ずっと俺を見つめていた。
一瞬たりとも見逃さない、忘れない……そんな強い意志を感じた。
てゆーか!
希和は、まだ処女だったのか……。
「ごめん。汗臭いやろ?俺、シャワー浴びてへんわ。」
事後も、俺にしがみついたままの希和にそう言った。
「くさい?……この香り……好き。」
希和は、ぼんやりとそうつぶやいて、俺の胸にすりすりと頬ずりした。
……そんなことされたら……また、やりたくなるんやけど。
俺は、希和のかわいい鼻に軽く噛みついた。
「好きなんは、香りちゃうやろ。俺、今日は何も香水とか付けてへんで。」
言えよ。
俺が好きだと言ってくれ。
祈りを込めて何度もキスした。
ぐにゃぐにゃになった希和は、べったりと俺にしなだれかかってつぶやいた。
「うれしい……このまま溶けてなくなってしまいたい……」
何でやねん。
イラついた俺は、希和の両肩を掴んでまつげがくっつきそうなぐらい間近から希和の瞳を覗き込んだ。
「ほな、何で坂巻くんとつきあってんの?」
ポロッと、希和の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「だって、孝義くんは、誠実やもん。信じられるもん。」
「へーーーーー。」
ちょっと意地悪な気持ちになった。