夢が醒めなくて
真夜中に赤面モノのメールを希和子ちゃんに送ってしまった俺は、居ても立ってもいられず施設を訪ねた。
事務職員さん達と歓談しつつ、希和子ちゃんの様子を推し量る。
もともと独りでいることが多い子だったので、特に今さら、仲間はずれにされているとか、イジメられてるという雰囲気ではないらしい。
ただ、美幸ちゃんが居たときはべったり一緒にいた照美ちゃんが、中学生とつるみ始めたらしく、希和子ちゃんとは袂(たもと)を分けたようだ。
啓也くんは相変わらず希和子ちゃんを兄弟のように気にかけてくれてるらしい。
とりあえずは安心、かな。
「やあ。お帰り。」
午後3時ちょうどに帰ってきた希和子ちゃんを笑顔で迎えた。
「ただいま、です。」
何となく、希和子ちゃんの反応が硬い気がする。
でも、拒絶されてない!
こないだのような、ツンツンモードというよりは、むしろ、ツンデレモードのように感じた。
「夜中にメール送ったんやけど、見た?」
そう聞くと、希和子ちゃんは苦虫を噛み潰したような顔でうなずいた。
「……気持ち悪かった?」
恐る恐るそう尋ねると、希和子ちゃんは首を傾げた。
「いえ?……気持ち悪いとは感じなかったですね。義人さんらしい、と、思いました。どこまで本気なんだか。……でも、答えは理解しました。」
何となく、ホッとした。
とりあえず、真摯に考えたことは伝わったらしい。
よかった。
希和子ちゃんは少しためらってから、言った。
「好きな色は、本当に特にないんです。選べなかったから、どんな色でも嫌だと思わないように努力してきました。だから、ごめんなさい。」
……別に、イケズ言われたわけではなかったんだな。
「謝らなくていいって。……わかった。でも、ココを出てうちに来たらもう我慢する必要ないから。遠慮せんと、好き嫌いを口に出してくれていいしな。」
そう言って、無意識に手を伸ばして髪にそっと触れようとして、慌てて引っ込めた。
不用意な行動でまた警戒されたら大変だ。
でも、意識してるからか、これまで以上に、希和子ちゃんがかわいく、いとしく、いじらしく感じた。
数日後、父親に呼ばれた。
……希和子ちゃんの調査が終わったのだろう。
家で話せばいいのに、父親は俺を会社の自室に呼びつけた。
つまり社長室だ。
内緒の話、というわけか。
緊張を強がりで隠しきれてない俺を、秘書の原さんが薄笑いを浮かべて案内してくれた。
事務職員さん達と歓談しつつ、希和子ちゃんの様子を推し量る。
もともと独りでいることが多い子だったので、特に今さら、仲間はずれにされているとか、イジメられてるという雰囲気ではないらしい。
ただ、美幸ちゃんが居たときはべったり一緒にいた照美ちゃんが、中学生とつるみ始めたらしく、希和子ちゃんとは袂(たもと)を分けたようだ。
啓也くんは相変わらず希和子ちゃんを兄弟のように気にかけてくれてるらしい。
とりあえずは安心、かな。
「やあ。お帰り。」
午後3時ちょうどに帰ってきた希和子ちゃんを笑顔で迎えた。
「ただいま、です。」
何となく、希和子ちゃんの反応が硬い気がする。
でも、拒絶されてない!
こないだのような、ツンツンモードというよりは、むしろ、ツンデレモードのように感じた。
「夜中にメール送ったんやけど、見た?」
そう聞くと、希和子ちゃんは苦虫を噛み潰したような顔でうなずいた。
「……気持ち悪かった?」
恐る恐るそう尋ねると、希和子ちゃんは首を傾げた。
「いえ?……気持ち悪いとは感じなかったですね。義人さんらしい、と、思いました。どこまで本気なんだか。……でも、答えは理解しました。」
何となく、ホッとした。
とりあえず、真摯に考えたことは伝わったらしい。
よかった。
希和子ちゃんは少しためらってから、言った。
「好きな色は、本当に特にないんです。選べなかったから、どんな色でも嫌だと思わないように努力してきました。だから、ごめんなさい。」
……別に、イケズ言われたわけではなかったんだな。
「謝らなくていいって。……わかった。でも、ココを出てうちに来たらもう我慢する必要ないから。遠慮せんと、好き嫌いを口に出してくれていいしな。」
そう言って、無意識に手を伸ばして髪にそっと触れようとして、慌てて引っ込めた。
不用意な行動でまた警戒されたら大変だ。
でも、意識してるからか、これまで以上に、希和子ちゃんがかわいく、いとしく、いじらしく感じた。
数日後、父親に呼ばれた。
……希和子ちゃんの調査が終わったのだろう。
家で話せばいいのに、父親は俺を会社の自室に呼びつけた。
つまり社長室だ。
内緒の話、というわけか。
緊張を強がりで隠しきれてない俺を、秘書の原さんが薄笑いを浮かべて案内してくれた。