さくらの檻の中で。(仮)



「凪沙、やっぱ面白いじゃん。」


涙の滲む目をこすりながら
顔を近づけられる。


その距離30センチ。


この人、自分の容姿わかってんのかな?

いや、絶対わかっててやってる。

確信犯の悪魔だ。


「な、凪沙、じゃなくて
みんなあたしのことなぎって呼ぶから…」


「なぎ?
んーーー、しっくりこねぇな。
いいだろ、凪沙で。」


凪沙ってあたしのことを
呼ぶのは、明希だけ
だったんだけどな………


「俺のことも滉でいいからさっ」


「…それ、できた?」

さっきから
こ、滉とふたりで教室にいるのも
これのせい。

担任から渡された、
文化祭実行委員のなんやかんや。


…うん、滉に任せてたから
内容よくわかんない。


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