さくらの檻の中で。(仮)
「…彼氏のひとりやふたり
いるとは思ったけど……
ガード固そうなのに意外。」
あ……
これは引かれた、かな……
真面目そうなのに
裏では男をたぶらかす女?
否定できないんですけどね。
……あれ?
なんで、泣きそうなんだろ、あたし。
別に滉にどう思われたって
クラスに知れ渡ったわけでもないし
どうでもいいことなはずなのに。
「…戻ろ、」
うつむいて歩けば
大丈夫だよね。
なんて
考えは甘くて。
「ストップ。」
腕をがっしり掴まれてしまう。
細いのに力のある滉からは
逃げられる気がしない。