さくらの檻の中で。(仮)
「ん」
って言って差し出される手は
繋ごう?っていう合図。
あったかくておっきい手。
「悠真…」
「なに?」
なんだか寂しくなって
悠真の名前を呼ぶ。
「…」
「なんだよ。」
「…んーん」
「なぎ、」
名前を呼ばれて
顔をあげれば落とされるキス。
…悠真はきっと、
キスをすればあたしの機嫌が
なおると思っている。
口を割ってはいってくる舌にも
こたえてあげる。
…ぶっちゃけ言えば、
悠真はキスがど下手。
もちろん、本人自覚なし。
あたしが好きなキスは
あの人のーーーーー…
って何考えてるんだ、あたしは。
悠真の前で。
しかも悠真のキスとあの人を
比べるなんて。