さくらの檻の中で。(仮)
しばらくして
滉はクラスの数人に引きずられるようにして
体育館にやってきた。
「まてまてまて
聞いてない!俺こんなんやだ!」
「いーじゃんいーじゃん
お前は俺らのクラスの代表なんだよ〜」
「そうだよ〜あたしも応援するからさ〜」
「ほらほらイケメンが台無しだぞ〜?」
「知るかっ!離せ〜〜〜!!!」
転校してきて間もないのに
滉はやっぱりあたしとは
違う側にいるんだな…
あのわいわいとした雰囲気は
あたしが味わうことのできないもの。
見てることしか、できないもの。
「あれ、あいつ
いつか凪沙といたヤツじゃん」
「あーー…うん。そうかも」
気づかれ、ない…よね?
放送がかかってから
体育館の中の人はだいぶ増えたし。
「凪沙はあいつのこと好きなの?」
「え?なんで?」
「なんとなく。」
いつも心を見透かされる明希だけど
あたしは滉に好き、とか
思ったことない…と思う。
かっこいい、けど……
「ま、今はまだ
凪沙は俺のこと好きだもんね」
「なにそれ!
なんでそうなるの?!」
「凪沙が俺のちゅー好きだから?」
「-×☆8+???!」
「口ぱくぱくさせて何?金魚?」
こ、こいつは………………!!!