さくらの檻の中で。(仮)
さあやさんはもちろん
「います」の答え。
『続いて五十嵐滉くん!』
滉は…なんて言うんだろ。
まさかこんなとこでも「いる」とか
言うのかな……
「…」
「えー……いません。」
「「きゃーーー」」
少し考えるように
でもはっきり答えた滉。
『えぇーこんなイケメンなのに
いないの??』
「いないです」
あぁ……
わかってしまった。
滉のこの答えが、
あたしを救うためのものだということが。
「彼女います」なんて答えれば
このイベントでの自分への注意が
多少は逸らされるはずなのに。
「明希…」
「…うん?」
「あたし、滉のこと
好きになるかもしれない。」
「うん」
あたしが嫌がった噂を
揉み消すように
きっぱりと言い放った滉。
たったそれだけかもしれないけど、
今までのこととか
もう、滉が優しい人なんだって
あたしにはない強さを持ってる人なんだって
ちゃんと、知ってる。