さくらの檻の中で。(仮)
「ばいばい」
「また明日」
電車は地元の最寄りに着いて
駅から反対方向の悠真とは
手を振ってばいばいする。
悠真とは、反対方向だけど。
ーーコツコツ…
あたしと同じ方向に歩いていく人なんて
いっぱいいる。
あの人の移動手段が
チャリか車ってことだって
ありえる。
「…っ」
なのに、なんで
こんなに息が苦しくなるの…?
忘れられたら、いいのに。
とことん、
嫌いになれれば、いいのに。