さくらの檻の中で。(仮)
「ノートくらい大丈夫だよー!
伝言ありがとう!」
人に頼るのが苦手なあたしは
山本さんの好意を丁寧にお断りして。
……なんてのは名目で
一緒に並んで歩くときに
何話していいかわかんなくなるから、
人との沈黙が怖くて
ひとりで教室を出る。
うちの学校には、
職員室の前に
各クラスごとのロッカーがあり
先生は何か返却物があるとそこに放り込む。
それを係りの人が回収して
みんなに返却…というルール(?)がある。
1クラス37人分のノートくらい
余裕っしょ!
なーんて思ってた自分が甘かった。
ロッカーの中には
ノートだけじゃなく、
何種類ものプリントが大量に
山積みになっているではないか。
……ひとりでこなきゃよかった。
とは思いつつ、
クラス替えをしたばったりの季節に、
こんなのを手伝ってもらえるような
友だちがクラスにいないことを思い出して
心の中で盛大にため息をついた。