朱色の悪魔
平出が運転する車は異様な静けさを保ったまま走る。
「…魁様、親父さんからの伝言があります」
「…なんだ」
「学校には行かれるように。朱音様は…長期休みが開けた時点で学校に行ける状況かで判断されるようそうです」
「転校か?」
「いえ。朱音様は家からは出さないと…」
…っは、転校できる先がねぇってことかよ。まぁ、華月がバックについてんだ。
それに伴う危険を背負ってまで俺たちを受け入れるわけねぇか…。
ただが1年ほどで、本家から通える学校をしらみ潰しにするとか。意味わかんねぇ。
でも、それだけ朱音は危険をさらされ続けたということ。
なんで俺は何も出来ねぇんだよ…。
ようやく着いた家。飯なんか食う気にもなれなくて、部屋に入ってベッドに体を預ける。
死にそうな朱音の姿がまぶたの裏に焼き付いている。
頼むから、生きてくれ…。
願うことはそれだけで、無理矢理目を閉じ続けた。