朱色の悪魔
─ッドクドクドク
激しく高鳴った鼓動が、痛みを加速させる。
バタバタとなにかが聞こえてもそれを確認する余裕なんかなかった。
「………………!!?」
「っあ゛ぁぁああ!!?」
痛い痛い痛い…。
体に触れた手を振り払って胸を押さえ付ける。
痛い、痛い…よ。
全身を針で突き刺されたかのような痛みが駆け巡っていく。
痛みが脳を焦がして、やがて急速に闇が近づいてくる。
痛みは続くままなのに、迫ってきた闇に抗うこともできず意識を手放した。