朱色の悪魔

翌日、朱音は起きなかった。苦しみ出す度に留榎兄さんはあの薬を朱音に与える。

「魁、学校行け」

「…でも」

「お前いてもなんもできないだろ。お前が帰ってきたら、留榎と施設に連れてってやれ」

神哉兄貴の言葉は最もだ…。

制服に着替え、準備を済ませてから朱音のとこに一旦戻る。

目を覚まさない。頭を撫でて、部屋を出た。

「魁様、送ります」

「…頼む」

平出はすぐに車を取りに行く。流石に今からじゃ間に合わない。

正面に回った車は普通のどこにでも走ってそうな車。それに乗り込んで、最後に転校した学校に向かう。

「…魁様、お帰りはどうされますか」

沈黙で満たされていたのを破ったのは平出だ。

自分で戻るとだけ行って、外を見る。

俺が帰れば朱音は、もうあそこにはいられなくなる。少しでも早く帰りたいけど、帰りたくない。

学校について、車から降りる。

つまんねぇ、学校…。
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