朱色の悪魔
「ッやめろ!!」
組長の罵声が飛ぶ。拳銃の音が止む。
相手の黒スーツは全員、地に伏せていた。周りに充満するのは赤の臭い。
その中に、華月組の組員が1人、倒れている。
「ッやれやれ、野蛮な方々だ」
研究者は門から顔を出す。その服に赤などどこにもついていない。
「さぁ、朱。こっちに来なさい、
僕は約束を守ったんだからね」
「…てめぇ、こいつらを」
「こいつらは失敗作ですよ。まぁ、処分してくれて助かります」
「外道がっ!!」
組長が吐き捨てた言葉さえ研究者はもろともしていないような顔で受け入れる。
これだけの人を、朱色の悪魔に毒した…。
この人たちは、だから武器をもっていなかったんだ。必要なんかなかったんだ。
彼らは死ぬことを前提に作られた兵器だから、私と同じ…。
「さぁ、朱」
「…」
…これ以上、こいつを野放しにするわけにはいけないんだ。