朱色の悪魔
追いかけたのはいいが、すぐ差し掛かった十字路ですでに行き先がわからない。
それでも突き進んだのはまぐれを信じてだった。
でも、進めどあの車も、華月組の車やバイクさえない。
さんざん探し回って、見つけられるはずもなくバイクを止めた。
「…くそ」
どこだよ…。
ヘルメットのせいで頭をかきむしることは出来なくて、携帯を出す。
大量の着信履歴があった。
ちょうどかかってきた電話に出る。
「はい」
『魁、戻れ。見失った』
神哉兄貴からの連絡はそれだけだった。
電話を切って、しばらくその場から動けなかった。
なんでだよ。車くらい見失うんじゃねぇよ…。
どうして…。
どうしようない思いをバイクのメーターのとこを殴り付けて抑え、本家にバイクを向かわせた。