朱色の悪魔
7.研究施設
1
目を覚ますと、真っ白だった。
上も下も、右も左もない。ただ、白の世界。
だが、一際白いところがある。目が眩む。
何度も瞬きをしたのち、それがライトであることを知る。途端に世界が色づく。
暗い部屋。私を照らすライトだけが煌々と白を放ち、闇の中に浮かぶ。
─ドクン
心臓が嫌な音を立てる。
─ドクン
背中が冷たい。
─ドクン
ここ、は…。
「ようやくお目覚めかな」
声がする。体が動かない。視線だけを動かして声の主を探す。
白に身を包んだ、研究者がいる。
1人ではない。私を取り囲むように白い人間が5人。
─ドクン
戻ってきたのだ。あの部屋に。
あの、冷たい世界に。