朱色の悪魔
行為が終われば魁はそ知らぬ顔で去っていく。
でも、去り際頭を撫でていくのはずるいと思う。
だけど、助けに来てくれると危険を犯してまで伝えに来てくれた。それが、どれだけ嬉しかったか魁にはきっとわからない。
だから、あいつらの前で泣くのを堪えるのがどれだけ大変だったか分からないよね。
牢に戻されて、あいつらの気配が消えた瞬間に我慢の糸が切れてボロボロ泣き出してしまったなんて、絶対言えないもんね。
「お嬢さん、よかったね」
向かえ側のご老人がそう言ってくれたのが嬉しかった。
でも、泣いてばっかりじゃいられない。
魁が置いていった物を隅の方に隠して、私は私なりの準備を開始する。
後5日。それがあいつらのタイムリミットだ。