朱色の悪魔
2日間、研究者たちは食事を運んで来るだけで連れ出されることもなかった。
そのおかげで十分に休むことができた。
イベントがあったと言えば、髪を切られたこと。腰まで届いて、前髪も顔が隠れるくらいだったのに、今では肩で毛先が揺れ、前髪はまゆげと同じ長さ。
お陰さまで片目が世界をきれいに写し、片目が真っ赤な世界と結構気持ち悪い。
それに、短かったことなんて幼いときしかないから落ち着かなかった。
でも、それ以外の時間は何もなく牢にいたお陰でこっそり準備もバッチリだ。
だから作戦実行の日も監視の目は全くない。
「えーと。こーして」
ただいま解錠中。何の?と聞かれれば首の枷。
旧式の鍵なんてちょろいちょろい。針金でちょちょいとね?
華月の潜入操作員をなめんなバーカ。
カチャンと音がしてお見事。しっかり外れました。
大きな音を立てないように床に置いて、続いて足枷も今度は見えるからすぐに開いた。
よし。後はこの鉄格子の鍵だ。
「お嬢さん…何を!?」
「しー。騒がないでください。気付かれたらヤバイんで」
ご老人の目が妊娠を教えたときより真ん丸だ。
お、やっぱこっちも楽勝!
これで晴れて自由の身だ。
とりあえず拘束される物は取っ払ったから、後はその時を待つ。