朱色の悪魔
「…お嬢さんまさか戦うつもりかい?」
「まぁ、そんなところです。私的に言えば復讐ですけど」
「…やめなさいと言っても、聞かないんだろうね」
ご老人はため息をついて、悲しげな目をする。
その目に抵抗の意思など、ない。
でも、私は止まるわけにはいかない。私に残された時間は僅か。なら、あいつもちゃんと連れていく。
1人で勝手に散っていく命にだけはならないんだ。
「…お嬢さんが泣いた日から今日で5日目だ」
「え?」
「今はその5日後の午後6時55分だよ」
「…どうして、そんな断定が出来るんですか」
ご老人が突然明かした時間に驚くしかない。
だって、ここには時計も、毎日登り沈む太陽の光さえ届かない。
ここで時間の体感と言えば、自分の中の体内時計と、実験のために連れ出しに来る研究者たちの出入り。
そして、食事の時だけだ。
なのに、なぜそんなに正確な時間を告げられるのか…。