朱色の悪魔
左手を捕まれる。
死んだはずの、研究者に…。
「朱、まだ地獄は遠いなぁ」
「ッ!!!??なっ………」
視線が合う。ニヤリと、気持ちの悪い笑みを浮かべた研究者。
どうして…?
一瞬、呆けた。だが、次の瞬間捕まれた首の圧迫感で意識は引きずり戻される。
抵抗するより速く研究者は首を掴んだまま身を起こす。
「っあ…ぐぁ」
「ふぅ、全く。どうしてくれるのさ、朱。キミを作り出すのに何十年かけたと思ってるの?はぁ?」
「っあ゛…ぁ…」
な…………ん、…………で………?
死んだ、はずじゃないの?
目の前にいる研究者はとても死にかけてるような顔には見えない。
無理矢理左手を上げる。今だ赤が溢れるそれで、研究者の腕を掴む。
「無駄だよ、朱」
「…ッ」
体制は、逆に。床に押さえつけられる。
なんで。どうして。何が、どうなってる…。
なんで、死なない?どうして、朱色の悪魔に触れて生きていられる…。