朱色の悪魔
「…私、上手な人じゃないと嫌」
「へー、結構選ぶタイプ?」
「うん。お兄さんたちは上手?」
にっこり微笑むと、青年たちの目がぎらつく。そんなに欲求不満なの?
まぁいいや。これからどうなるかも知らないで、欲求に溺れてて。
視線を巡らせる。今夜の相手を選ぶかのように。そして、ターゲットに向かって微笑む。応えるような顔だ。
歩み寄って、彼の腕に抱きつくようにして、そっと体を寄せる。
「お兄さん、優しくしてね?」
「へぇ、見る目あるじゃん?」
腕が肩に回る。つれた。
「またお前かよ」
「またには譲れっての」
一緒にいた青年たちにひらひら手を振ったターゲットは歩き出す。
夜のネオンが街を包む。街を歩く人たちの目は危うい色。
「あー!浮気してるー」
少女の甲高い声。露出の激しい服を着た少女が指さすのは、今つれたばかりの青年。
めんどくさい…。
少女はヅカヅカ歩み寄ってきて、睨んでくる。青年が少し、たじろいだ。
「あんた、私のダーリンに手出さないでよ!」
ヒステリックに叫ぶ少女は、青年の空いてる方の腕に絡みつく。