朱色の悪魔
どうしようかな。ここで逃がしたらまたつるのは難しくなりそう。そうなると、次男さんの無駄な仕事が増える…。
「…お兄さん、もしかして小さい方が好み?」
「え?」
「付きまとわれて可哀想だね?私はそんなことしないよ?でも、今日優しくしてくれたらお兄さんの必要なときだけ、呼んでくれたら優先してあげる」
目をみて微笑んで、青年の手を胸元へ持っていく。青年の視線が釘つけになったのがわかる。
服の裾に指を触れさせれば、少し力が入った。
「お兄さん、どうする?」
「…お前、邪魔」
「きゃ!?」
少女が振り払われる。彼女が転んだのにも関わらず歩き出す青年。
やれやれ、これだから遊び人兼やりたい放題な人は…。
少しだけ振り返って、少女に笑みを向ける。もう、こんな危険な人に捕まったらダメだよ…?
絶対意味は伝わらず、少女は激しい憎悪の視線を向けてきたから、視線をそらした。