朱色の悪魔
「どうだった?あの坊っちゃんから聞き出せたか?」
「ガセネタばっか寄越してると、いい加減華月にあんた売るよ?」
「まぁそういうなよ。あちらさん隠れるのがどうも上手だ」
クロさんは華月のマークする裏組織の密売人。いろんな組を転々としているらしい。
クロさんが情報を流す代わりに、捕まえてない。交換条件だ。
クロさんは煙草を口にして、紫煙を吹く。
「…単なる噂だ。聞き流せ。…12年前の被検体の生き残りが消えてる。シュリ、気を付けろよ」
「消えてる?殺されたの?」
「いや。…回収。それが1番しっくり来るだろうな」
クロさんは煙草を落として踏みつける。
12年前の被検体。赤色の悪魔を作り出した研究室の、生き残り。どうして今更…。ただ、これがもし本当なら、あの研究者は生きてる。あの、狂った研究者が…。
「この件はあまり触れられねぇ。シュリ、とにかく気を付けろよ」
「心配してくれるんだ」
「ちげぇよ。お前が渡れば悪魔は一気に蔓延する可能性があるってんだ」
「ちょっとは心配してよ」
クロさんは正直。さて、となれば、あんまり外出しない方がいいかな。
「シュリ、そこに転がしてるの回収しとけよ」
「ん」
クロさんはまた闇に紛れて消える。…帰ろ。