ウサギとカメの物語 2
同棲、どうせい、dousei……。
なんとまぁ、そんな素敵な単語を私ったらすっかり忘れていた。
そうよ!
いつになるか分かんない結婚への近道は同棲じゃないか!
カメ男のプロポーズを待ってたらいつまで経っても結婚なんて出来やしないんだから、だったら同棲に持ち込むってのも手だな。
2年くらい一緒に住んじゃえば、成り行きで結婚……ってな具合にうまく転がらないだろうか。
ちょうどその頃には私も30歳だし。
20代で結婚したかったけど、この際三十路を過ぎてから結婚だっていいや。
「タイミング見て提案してみようかなぁ」
「おっ、いいね~!頑張れ~!」
私が乗り気になったからか奈々はやたらと嬉しそうに笑っている。
同棲という一筋の光を頼りに、私は決意した。
ヤツに同棲を持ちかける!
必然的に広い部屋に引っ越せる!
家賃半分こ!光熱費半分こ!生活費も半分こ!
異動しちゃっても家に帰ればヤツに会える!
よって私のパワーも充電できる!
なんならヤツに結婚を意識させることだって出来る!
一石二鳥どころか、一石五鳥くらいありそうだ。
絶対にマメでは無さそうなカメ男の性格を考えれば、同棲した方が安心するというのは間違いない。
もう私の頭の中は同棲出来るかもしれないというおめでたさでいっぱいになっていた。