ウサギとカメの物語 2
その後、カメ男はムードも何もなく私にキッパリとこう言い放った。
「来月の梢の誕生日とクリスマスプレゼントは、無しでお願いします」と。
「今回指輪を買って分かった。俺は婚約指輪をナメてた。引越し費用と指輪だけで、きっと冬のボーナス軽く超える」
もちろん「いらないよ」って言ってあげましたとも。
だって婚約指輪の煌めくダイヤがあまりにも素敵で。
他には何もいらないなって本気で思ったから。
「これって何カラット?」
「0.2か、0.3」
なによぅ~曖昧だなぁ~。
でもそんな大きさのダイヤがここにあるのね。
いつまででも見ていられるなぁ。
「あと、梢にもうひとつ頼みがある」
「あら。なんでしょ?」
いつになく真剣なカメ男の顔を見て、私は首をかしげた。
「家具選びは一任する」
「………………」
おいおい、単に面倒くさいだけだな。
それくらい分かるぞ。
面倒なのは全部私に丸投げだな。
こいつはきっと、結婚式とか新婚旅行とか、そういうのも全部私に任せる気なんだ。
望むところだ!
グッと気合いを入れて、「了解~」ってヤツに笑いかけた。
交際期間11ヶ月。
私はカメ男にプロポーズをされました。
そして、その1か月後の12月30日。
私とカメ男の交際ちょうど1年の記念日に、めでたく入籍をしました。