ウサギとカメの物語 2
おまけ その1 門脇奈々の友人代表スピーチ。


ただいまご紹介にあずかりました、新婦の梢さんの友人であり同僚の門脇奈々と申します。
梢さん、柊平さん、ご結婚おめでとうございます。
ご両家のご家族、ならびにご親族の皆さま、本日は誠におめでとうございます。


文章力の乏しい私ではありますが、お祝いの言葉を述べさせて頂きます。


いつものように呼ばせてください。
コズ、須和、本当におめでとう。

さっき教会でコズのウェディングドレス姿を見て、ビックリしました。
だってすっごく綺麗だったから。
いつもはどちらかというと男前なコズなので、あまりのおしとやかさに驚いてしまい、そして感動しました。

あ、ここは笑うところじゃありませんよ。


コズとは同期入社で同じ本社勤務となり9年目を迎えましたが、入社当時から私たちは仲が良くずっと一緒に過ごしてきましたね。

本当に明るくて元気が良くて、サバサバしていて話しやすくて。
お酒が強くて笑い上戸で、一緒にいて気を使わないコズ。

毎日美味しいランチを食べたり、時々飲みに行ったり、旅行したり、いつも私と付き合ってくれてありがとう。

なにより、お互いの恋愛相談は欠かせない話題でした。

その恋愛相談の中に須和が出てくることは一度も無いまま、彼らは付き合い始めました。
付き合うことになったって聞いた時は、一体どうしてそんなことになったのか、と当時コズに何度も聞いたのを覚えています。

プライベートでお2人と飲みに行っても、ラブラブなところを見たことがありません。
コズがノロケているのも見たことがありません。
プロポーズ話も詳しく聞かせてくれません。

結婚ですら、あっさり「結婚することになったから」って簡単に報告された程度で、もう寝耳に水ってまさにコレのことかと思ったくらいです。

でもそんなお2人が今日は手を取り合ってバージンロードを歩き、きちんとみんなの前で将来を誓い合った姿を見てちょっと安心しました。

別に誰かに話さなくたって、みんなが見ていなくたって、コズと須和は幸せなんだなって伝わってきたからです。

お2人の誓いのキスを楽しみにしていた身としては、おデコにチュッとしたのが残念で残念でなりません。
須和、男らしくないぞ。


でも今日、久しぶりに須和の顔を見てちょっとした変化を感じました。

それはメガネです。

あんなにダサい……ゲホッ、失礼しました。
あんなに地味……いや、機能性重視という感じの野暮ったいメガネをかけていたのに、今日はなんだか素敵なオシャレメガネになっているではありませんか!

……あ、ここも笑うところじゃありませんよ?

聞けば、そこのテーブルに座っている元同僚の高槻くんが無理やり彼をメガネ屋に連れ出し、オシャレなのを選んだということだったので納得です。

結婚式に間に合って本当に良かったです。

欲を言えば、髪の毛をもう少しなんとかしてください。

…………みなさん、笑うところじゃありませんよ。



それでは、大したお話もできなくて申し訳ありませんが、とにかく言いたいことはこれだけです。

私の大親友のコズが幸せそうに笑っているのを見ることが出来て、本当に嬉しいです。

いつまでも末永くお幸せに。
私も早く結婚したいです。


ご清聴ありがとうございました。


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