ウサギとカメの物語 2
蕎麦粉を使ったクレープのような見た目のガレットという料理を食べることが出来る、レンガ造りのお店にやって来た。
そこは本当に女子に人気のお店で、レンガ造りの可愛い店構えといい、少ないように見えてけっこうボリュームがある料理といい、店内は私みたいなOLでひしめき合っていた。
そこに1人だけ優くんが紛れ込んでいるから不思議だ。
彼は彼で、初めて来るお店だからかとても楽しげで。
携帯でガレットの写真をパシャパシャ撮ったりしていた。
「美味しそ~!いただきまーす!」
思う存分写真を撮ってから、ナイフとフォークでガレットに食いつく優くん。
なんというか、女子力高めのイケメンなんだよね、彼。
「うぉー、梢!めっちゃ美味いな!」
って、こうやってバクバク食べ進める姿を見ると男らしいんだけど。
無駄に目の前の極上のイケメンを観察しながら、私もガレットを口に運んだ。
「優くんってどれくらい彼女いないの?」
とりあえず会話を弾ませておくか、と思って彼に質問してみる。
おしゃべりが好きな私たちなんだから、沈黙になる訳がなかった。
優くんは少し考えるように眉を寄せつつ、嫌がることなく話してくれた。
「うーん……、かれこれ半年はいないなぁ」
「そんなにかっこよくても間が空くことってあるんだね」
「ねー!自分でもビックリだよ!」
否定しないのかよ、おい。
さすが自他共に認めるイケメンだわ。
「梢は?今の彼氏と長いの?」
「ううん、4ヶ月目だよ」
おっと、カメ男の話題が来てしまった。
ボロを出さないように気をつけなくては、という思いが一気に頭を支配する。