ウサギとカメの物語 2
5 ウサギとカメの夏休み。
優くんのことが一件落着してから、3ヶ月の月日が流れた。
私とカメ男は相変わらず仲良くやっておりまして。
まぁ時々ケンカもどきみたいなことはするんだけど、いつものごとく私だけがヤツの素っ気なさにプンスカ怒り狂って文句を矢継ぎ早に浴びせる、というだけのこと。
ヤツは自分が悪いと僅かにも思っていないので謝ることもしてくれず。
結果的に私が翌日(怒りが当日しか持続しない)に機嫌を直して、仲直りもどきをするという日々だった。
そして、3ヶ月前の騒動……と呼べるかどうかは定かじゃないんだけど、それを引き起こした張本人の優くんは、文字通り私の親友的なポジションに定着し、時々飲みに行ったり、私と奈々の買い物に同行するようになった。
奈々にも彼がバイであることを伝えたんだけど、その時の彼女は驚くほどに落ち着いていて。
その反応にこっちが驚かされたほどだ。
奈々いわく「人って見かけによらない部分を持っている場合が多いけど、それが優くんの場合はバイだったってだけでしょ?」と、あっけらかんとしたものだった。
そして、優くんが片想いしていた相手がカメ男だったという事実に関しては大爆笑していた。
ヤツに面と向かって「不憫ね~」なんて声をかけたりして。
彼がカメ男のどんなところに惹かれて、どこに一目惚れしたのかは詳しく聞けなかったんだけど、そこまでの説明は求めなかった。
聞いたら聞いたで私の方が動揺しそうだし。
で、季節は夏。
私とカメ男のお付き合いも8ヶ月目に突入というわけなんです。
毎週末ヤツの家に泊まりに行くスタンスも変わらず、ヤツは週3のボルダリングは欠かさず行っていて。
私はカメ男と付き合ってから、友達の結婚式に5回ほど招待された。