[ぎじプリ] 課長の瞳で凍死します
 端正な顔に、あの細い銀縁の眼鏡が知的で素敵だと騒ぐ女子社員も多いが、話しかける勇気のある人間は居ないようだった。

 確かに怖い。

 なのに、なんでだろう。

 酔っていたので、記憶は曖昧なのだが。

 その先輩の寿退社の祝いのとき、カラオケに行って、課長の隣になった。

 最初は今と同じように緊張していたのだが、段々酒も入ってきて、司会進行をしていた同じ課の男の子が、盛り上げるのが異様にうまくて、テンションが高くなっていた。

 お手洗いに行って戻ってきたとき、ちょうど同じように戻ってきていた課長と一緒になって。

 何故だかわからないが、壁の絵を見て、話し込み、結構盛り上がった。

 あ、初めて、この人の笑った顔を見た、と思ったのは覚えている。
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