[ぎじプリ] 課長の瞳で凍死します
「そこまでじゃないです。
 さっき、打ったときはすごかったけど」

「そうか。
 じゃあ、早めに戻ってこい。

 堀田が居なくなって、人手が足りない」

 そう言い、バサッと足許にたたんであった布団をかけてくれるが、いまいち優しさが感じられない。

 でも、さっき、抱き上げてくれたとき、寄りかかっていた課長の胸は、あのときしたキスみたいに、ちょっと温かかったな、と思う。

 行こうとして、課長は振り返り、
「少し寝るのなら、鍵をかけておけ」
と言う。

「は?」

「誰か入ってくるかもしれないだろ」

「あ、はい。
 わかりました」

 なんだかわからないが、頷く。

 だが、行ったはずの課長がすぐに戸を開けて戻ってきた。

「お前、適当に返事をするな。
 動けないんだから、鍵、かけられないだろ」

「はは。
 すみません。

 大丈夫ですよ。
 痛くて寝られませんから」

 そう答えながら、課長ほどの人がすぐにそのことに思い当たらなかったのが不思議だった。

 珍しいこともあるもんだ、と思いながら、少し笑って目を閉じる。

 そのうち、痛みは和らいできて、眠ってしまった。

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