【完】私の世界はキミの色〜甘酸っぱい恋〜
「あっ、はっハル。」
そう言ってぎこちない笑顔を見せるミツ。
「お前さぁ、なんで俺のこと避けてんの?」
「避っけて、ない、よ?」
そう言うミツの声は震えていた。
それに連動するようにミツの体も震える。
え…ミツ…
もしかして…泣いてる?
「お前なんで泣いてんの?」
俺が歩き出した時だった。
「来ないでっ!」
ミツがそう叫んだ。
つうか、来るなってなんだよ。
こっちは心配してやってんのに。
その一言で俺の何かが切れた。
「こっちは心配してやってんじゃん?それなのになんなんだよ。俺だけならまだしも、華桜のことまで避けやがって。」
ミツに避けられ始めて華桜は傷ついていた。
俺にとったら何よりも大切なんだ。
傷つけるんだったら、ミツでも容赦しない。
でも、これはミツにとっては逆効果だったようで
「何も言わないで避けたことは悪いと思ってる。でも、しょうがないじゃん‼︎」
ミツ??
俺はこんな声を荒げるミツを見たことがなかった。
「私だって我慢できると思ってたよ。でも、いざ、2人の世界を作られると入りたくても入れない。」
なんの話だ?
「それに、誰にも相談できないし口に出すことも許されない…。忘れようと思ってもこうやって現れる。せめて…せめて時間を置けたらって。」
ミツは何を言ってるんだ?
「…こんなに想ってるのに振り向いてくれることはないんだよ?…堂々と真正面からぶつかって行けるハルには分かんないでしょ?……だから、もう、私の事はほっといて。」
そう言ったミツの声はどこか弱々しくて…。
ミツは歩き出した。
そしてすれ違い様に
「幸せになってね。」
と言った。
震える声で。
絞り出すように。