内緒で優しくして欲しい
仕事に疲れたとき、ヘマをして落ち込んでいるとき、
彼はよく私のためにお茶を用意してくれる。
ときどき優しくて、ときどき冷たい。
今日は、とびきり優しい日だということを
私は知っている。
「おいしい。」
冷たいお茶が私の喉を通って、頭を冷やす。
ほぉっと私の口からため息が漏れる。
優しい時間が私を癒す。
さっきまで熱かった頭が少し冷えて来た。
ただ、彼の傍にいるだけで、
肩や首を固まらせていた余計な力が抜けて行く。
だいぶ復活してきたみたい。
「いつもありがとう。」
私がお礼を言うと、彼は
「どういたしまして。」と他人行儀に言った。