内緒で優しくして欲しい

ふと、いたずらな気持ちが顔を出す。
もう少し彼に甘えたい。

「ねぇ、もう少し、本格的に気分転換してもいい?」

彼にむかって手を伸ばしたけど、彼はそれを制した。

「まだ定時になってない。あんまりサボってると、上司に叱られるぞ。」

笑顔でやんわりと私を叱った。

「でも、欲しくなっちゃたの。」

私は出口に立って廊下に通じる戸を閉めた。

密室になった給湯室で、彼と2人きり。
こんなところを上司や他の女性社員に見つかったら大変だ。

「おい戸なんか閉めて何するつもりだよ。」

彼が焦り始める。

「せめて定時になるまで待てないのか?」

「だって、今日は定時になんて帰れないもん。」

「我慢しろって。定時になったら、いくらでもかまってやるから。」

「イヤ。今欲しいの。」

「今はマズいって。」
< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop