おばあちゃんが死んだ日
気付けば朝6時。
目を開けて、モニターを見ると心拍は弱くなり、血圧も低い。
モニターなんて見なくてもわかるほど、呼吸は浅くなっていた。
もう30分も持たないだろうと、素人の私でも判断できた。
「おばあちゃん、しっかり息するんだよ!」
従兄弟が叫ぶ。
しかし呼吸は浅くなるばかり。
呼吸をしているのか、していないのかすらも明確ではない。
6時10分。
無機質な機械音が部屋に響いた。
全てのモニターが0を映し出す。
「私の時計ですと、えー、……6時10分、ご臨終です。」
医師が告げる。
一瞬、時が止まった。
誰も何も言わない。
「おばあちゃんにありがとうって言いなさい」
沈黙を破ったのは叔母さんだった。
その言葉に従兄弟2人は祖母に「ありがとう」と声をかけた。
私は首を横に振るだけだった。
一番最後に残る機能は聴覚だと何処かで知り、もし私の近くで人が死んだら声をかけてみようと冗談半分にも思っていたのに、私はできなかった。