おばあちゃんが死んだ日
その日の実習のフィードバックの時間に指導者から「美月さんはあの患者さんのこと、どういう人だと思ってた?」と質問された。
あまりにも漠然な質問に戸惑いながらも「意思疎通が困難で、けれど良く笑顔を向けてくれていたので優しくて明るい方なのではないかと感じてました」と簡潔に述べる。


「それだけ?二カ月も一緒にいてそれしかわからなかったの?美月さんは一番に仲のいい友達の事を誰かに紹介する時、そんな風に話すの?違うでしょ?」


指導者は無表情に冷たい視線を私に送ってくる。
威圧的な態度のこの指導者とはどうにも気が合わず、好きにはなれなかった。
ペンの先をトントンと机に叩きつけながら話す。
その態度からこの指導者も私に対して決して良い感情は向けていないのだろうと感じた。
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