円満破局
夏祭り、プール、ただのショッピングや映画デート。
図書館で勉強するだけでも、きっとはるくんとふたりなら楽しいね。
考えるだけで、わくわくそわそわ。
夏休みがくるのが待ち遠しくなる。
スケジュール張にカラフルなペンでいくつも楽しい約束を書きこむ。
憧れていたそれをできるなら、はるくんとの予定で埋められるなら、それ以上のことはない。
「そんな喜んでくれるとなんだか照れくさいね」
「えっ」
はにかんだような笑みに、体中の熱が顔に集中しちゃったんじゃないかってくらい赤くなるのが自分でもわかる。
君のそんな表情を向けられて、わたしの方がずっとずっと、照れくさいよ。
「よし! 思い出、たくさん作ろう!」
はるくんがわたしの顔をまた覗きこんでくる。
その表情に応えるように頷こうとしたところで、ようやく気づく。
クラスの人たちの────視線に。
とっさに息を呑むことさえも目立たないようにそっとしてしまう。
唇をきゅっと真一文字に引き結んだ。