円満破局
えんまん
こみ上げて止まらない涙を拭う。
堪えてもなおもれる声を必死で噛み殺す。
「ふっ……ぅ……」
本当は、わたしもはるくんと別れたくなんてなかった。
当然だよ。
ずっと好きだった人から告白されて、付き合うことができて。
そんなの、ずっと続けばいいのにって思うに決まってる。
それでもお互いのためにとそれらしいことを理由にあげた。
でも、本当は逃げていたんだ。
はるくんが傷つかないように。
それもうそじゃない。
うそじゃないけど、1番は……わたしが傷つきたくなくて。
君がわたしを嫌になる日が来る前にと、そう思ったの。
だけどね、
「わたし本当は……はるくんに『嫌だ』って、『別れたくない』って言って欲しいと思っていたの」
もっとわたしを求めて欲しかった。
彼のそばにいることを恐れながら、彼に望まれていたかったの。
欲しがってくれたなら、きっと周りの目なんてこわくないと、信じていた。
とてもずるい考えだった。
ごめんね、わたしの方がずっと君よりわがままで自分勝手だったの。