円満破局
気づけば教室は完全に闇に覆われている。
窓の外には明かりがあるのかもしれないけど、もうはるくんしか目に入らない。
「忘れないでって言ってたのに、はるくんの気持ちを忘れて、不安になってごめんね」
わたしはずっと見るべきものを間違えていた。
気にかけるべきだったのは、周りの目じゃない。
知らない誰かの傷じゃない。
なにより大切で愛おしい君だったね。
その心を考えずに想うことは、なんてひどいことだったんだろう。
浅い深呼吸を繰り返す。
そしてそっと、口にした。
「叶うならもう1度、わたしをはるくんの彼女にして下さい」
「っ……」
今度もまた、君を傷つけてしまうかもしれない。
身勝手に振り回すかもしれない。
だけど、わたしはもう1番大事なところは間違えない。
自分にとってなにより大切なものを手放したりしないよ。
「もう傷つけないように、頑張るから」
そう言ってわずかに口元に笑みを浮かべる。
すると、はるくんが首を横に振った。
「君は俺を傷つけるよ」
「っ!」
静かに、とても静かに息を吞んだ。
君の答えはつまり、もうわたしを受け入れられないってこと?
わたしたちは、これでおしまい……?