円満破局




「ごめん、なさい……」



ぽつり、謝罪が口から出る。



なんのごめんなさい?

自分でもわからないよ。



だけど、なんとなく。

全てのことに申し訳なくなってしまった。



わたしなんかがはるくんの彼女になって、なにも気づかずあの日から今までずっと浮かれていて。

わたしはなんて、ばかなんだろう。



わたしがはるくんの彼女になることで、誰かに注目されること。

妬みを買うこと。

はるくんの趣味が悪いと言われること。



傷つく人がいること。



もっとたくさんのことがあるに違いない。

だって、彼はわたしにはもったいないくらい素敵な人だから。



わたしは、今になってようやくそのことに気づいた。



ああ、なんて浅はかなの。

周りが見えていなかった間に、どれだけの人が泣いて、傷ついて、はるくんを想う気持ちに身を焦がして。

……そしてわたしを憎んだんだろう。



考えたくもないことだね。






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