恋したら裏切りですか?〜甘い香りに誘われてⅢ
むっ。せっかく真剣な表情の早川君に
ドキッとしたのに、いつもの早川君に戻っていた。

「よし。こんなもんだろ…帰るぞ」

大理石の床に敷いていた古新聞を、ゴミと一緒に丸めて立ち上がる。

「うん。行こっ…ゴミも散らかってないよ……っ、きゃっ」

ツルッと床で足がすべる。

「……っ!危ないっ」

早川君に抱きとめられる。


ふわり…


少し汗ばんだ早川君の胸に、飛び込む格好になった。


「……ありがと」


そう言って離れようとした私を、ギュッと抱きしめてくる。


えっ……?










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